リサイクル製品というと、一般的には「環境にいいけど割高」「環境保全に貢献するために購入する」というイメージが付きものだ。ところが、今まで処理が厄介だった廃棄物を有用な製品に変え、喜ばれている企業がある。北海道二海郡八雲町にある「ホクエイ」だ。八雲町はホタテの産地だが、大量のホタテ貝殻の処分が問題になっていた。1トン当たり約1万円の処分費用が掛かり、埋めると地下汚染を起こす厄介な廃棄物だった。ホクエイは「ホタテ貝殻を使ったリサイクル事業」という事業計画を立てスタート。ホタテ貝殻には、作物が育ちやすい土壌に改良する働きがあるが、貝殻に含まれる塩分が作物の生育を阻害する。この欠点を、貝殻を焼く事によって脱塩に成功した。貝殻には目には見えない小さな穴が沢山開いている。この穴が土壌の汚染物質を吸収し、作物が汚染物質を吸収し難くなる。焼いたホタテ貝殻に含まれる水酸化カルシウムは、水に溶けやすく土壌を硬くしないので生育が良くなるし、タンパク質を分解する働きもある。ホタテ貝殻の特性に注目し、土壌改良剤から始まり、洗濯用洗剤、入浴温水除菌剤、ハミガキなどを次々に開発している。まさに、地元の厄介者だった貝殻を、文字通り「宝の山」に変えたのだ。社長には「世の中に無いものを創りたい」という信念がある。この成功の裏には、どれ程の失敗があったのだろうと思いが馳せる。
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