眞鍋淑郎さんがノーベル物理学賞を受賞したことで、再び頭脳流出が騒がれている。眞鍋さんは米国に流出したが、他にもノーベル賞候補に名前の挙がる日本人科学者が中国に流出している。光触媒研究の第一人者である藤嶋昭東京理科大学元学長はノーベル化学賞候補だが、中国の上海理工大学に移籍した。光触媒とは、光のエネルギーで化学反応を促進させるもので、環境浄化やウイルス除去にも活用可能な技術として注目され実用化が進んでいる。また脳神経科学者として有名な御子柴克彦さんはノーベル医学生理学賞候補で、今は上海科技大学免疫化学研究所の教授だ。この3氏に共通するのは「質の高い研究を続けたい」という意欲だ。米国や中国は、日本とは比べものにならないくらい、研究環境も処遇も良い。思う存分研究が出来る。頭脳流出した研究者を国賊まがいに批判する人もいるが、それは非難する相手が間違っている。日本の研究環境は貧弱だ。研究費も少ないし、研究者のレベルも低いし、博士課程の院生は減る一方だ。おまけに行政が縦割りで制約が多いし、何よりも研究と政策がリンクしていない。岸田首相は成長戦略の第1の柱に「科学技術立国の実現」を掲げている。岸田のお手並み拝見と行こう。
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