官僚のトップである事務次官が雑誌に寄稿するのは極めて稀だ。矢野財務事務次官が文藝春秋に寄稿した論文で、与野党の政策論争を「バラマキ合戦」と批判し「このままでが国家財政が破綻する」と言及したことが波紋を広げている。麻生前財務相と鈴木現財務相は矢野の意見を肯定しており、経済同友会の桜田代表幹事も賛同している。一方で、高橋嘉悦大教授やジャーナリストの長谷川幸洋は、矢野の間違いを指摘し失笑している。高橋は例の通り、バランスシートで説明し、日本の財政は健全だと言っている。長谷川は矢野が用いた数式自体に間違いがあり、それを直せば財政は超健全だと指摘している。IMFは日本の財政をバランスシートで示し、健全だとしているから、世界標準として日本の財政は健全と言えるだろう。財務省は、常に債務だけを問題にして資産には言及しない。資産を処分すれば債務は相殺される。長谷川は、財務省が資産に触れないのは資産が減ると天下り先が無くなるからだと指摘している。ここに改革が進まない原因が潜んでいる。矢野論文が注目されればされるほど、財務省の間違いが明らかになり、改革が進むことになる。飛んで火に入る夏の虫とはこういうことを言うのだろう。
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