昨年の総裁選で菅前官房長官がデジタル庁の創設構想を打ち出し、今月1日に約600人規模の新官庁が誕生した。菅は「行政の縦割りを打破し、複数の省庁に分かれている関連政策を取り纏めて強力に進める」と宣言した。もし目論見通りにデジタル庁が機能すれば、デジタル庁が全省庁の予算・政策を支配することになる。日本政府が遅れに遅れているDXデジタル・トランスフォーメーションを推進し、縦割り行政を無くすというのだから、是非とも進めて欲しい政策だ。ところが、各省庁の抵抗に遭い、トップ人事と組織化に失敗してしまった。各省庁はITゼネコンと呼ばれる大手ベンダーに依存しており、使い勝手の悪いソフトを量産している。予算・政策の実権を握られることに反対する官僚と大手ベンダーが結託し抵抗した。更に、システムの発注権限を一元化し強い調達権限を持たせる事務方トップである「デジタル監」に、ズブの素人を任命してしまった。最早お飾りに過ぎない。実務は経産省の官僚が行なうことになってしまった。これでは旧態然として、DXの推進は夢のまた夢。まさに、仏作って魂入れずだ。菅は総裁を去るに当たって、デジタル庁の創設を自慢している。何処までも現実が見えない菅だと思う。
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