黒い雨訴訟で広島高裁が原告勝訴を言い渡し、政府が上告するかが注目されていたが、菅首相は上告を断念すると発表した。国は1976年、黒い雨が激しく降ったとされる「大雨地域」に限定して援護区域を指定し被爆者を認定した。黒い雨訴訟はその区域外で黒い雨を浴びたが被爆者と認められなかった84人が起こした訴訟だ。84人は被爆者として認められたが、この区域で黒い雨を浴びたとされる人は1万人以上いる。政府の今後の救済範囲が注目される。この裁判の判決には画期的な内容がある。これまで、被爆者は自分が被爆したことを証明しなければならなかった。だが、この判決では、政府側が被爆していないことを証明しなければならなくなった。時間が経過し、科学的に証明することは双方にとって極めて困難だ。今後国民の泣き寝入りは激減するはずだ。それにしても菅首相はよくぞ決断したと思う。菅内閣の低支持率と秋の衆院選が無ければ、決して有り得ない上告断念だったと思う。コロナは厄をもたらしたが、素晴らしい上告断念という贈り物ももたらした。
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