縄文時代の土偶の存在は、邪馬台国論争と並び、日本考古学史上最大の謎と言われている。縄文時代は1万数千年前から2千年前までと非常に長い。現在までに2万点近い土偶が各地で発見されている。土偶研究は明治時代に始まって130年も経ち、通説は「土偶は女性をかたどったもので、自然の豊かな恵みを祈って作られた」となっているが、中には宇宙人という珍説まである。依然謎のままだ。ところが、驚きの新説が飛び出した。人類学者の竹倉史人が「土偶を読む:晶文社」で明らかにした。早速自分は近所の品揃えで有名なジュンク堂に行って読んでみた。土偶とは、食用にした植物に手と足を付けたもので、植物霊祭祀そのものだと言う。例えば、ハート形土偶は縄文人が食べていたオニグルミの殻をデフォルメしたもの。ハート形土偶の出土分布は、オニグルミの生育分布と一致する。これを発端に他の土偶を調べてみると、縄文のビーナスはトチノミ、遮光器土偶はサトイモ等々であることが判明したと言う。非常に説得力のある学説だと思う。歴史が塗り替えられる瞬間に立ち会っているような感覚になった。久々に感動した。
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