唐突な4月13日の日本政府の福島原発事故処理水放出の発表に対し、案の定、中国と韓国が猛クレームをつけた。でも、その後は少し鎮静化している。いきなり放射性トリチウムを多量に海洋放出すると言えば、誰でも反射的に反対してしまうのが道理だ。しかし事実を冷静に考察すれば、中韓がおとなしくなった理由も分かる。事実とは。トリチウムは自然界に膨大な量存在する放射性物質だ。福島第一原発に貯蓄されるトリチウムは約860兆ベクレル。それを年間22兆ベクレル以下の量で放出していく計画だ。一方、韓国は2018年、海水や大気に年間約360兆ベクレルのトリチウムを排出した。中国の大亜湾原発は、2002年に約42兆ベクレルを排出した。年間放出量で比較すると、日本22兆ベクレル、韓国360兆ベクレル、中国42兆ベクレルとなる。中韓が鎮静化した訳だ。でも、問題は多い。問題は政府の発表の仕方だ。処理水放出が理にかなっているかの議論の前に、風評被害をミニマムにする必要があった。特に福島県民にとって風評被害は生活を脅かすことになる。だからこそ、福島県民を筆頭に日本全国民を含め、更に近隣諸国への丁寧な説明が必要だった。これを怠り、話の順序を間違えた菅政権の罪は非常に重い。
コメントをお書きください