川崎医科大の日野教授らのグループが、薬剤のナノ化により肝臓がんの抗がん効果を高めることに成功したとのニュース。この薬剤は、がん細胞が増殖するのに必要なブドウ糖の吸収を阻害する2―デオキシ―D―グルコース。効果は大きいが、高血糖などの副作用があるため、通常治療には使われていない。ところが、薬剤を50~150ナノメートルまで微細化してマウスに注射した結果、薬剤が血管の壁の隙間からしみ出し、がんにたどり着いたという。ブランクに較べがん組織は2分の1だったとのこと。肝臓がん細胞が薬剤をブドウ糖と間違えて吸収する一方、免疫細胞が寄ってきて、ブドウ糖を優先的に取り込み、免疫細胞も活性化した結果と考察している。更にいずれのマウスにも大きな副作用はみられなかったという。ナノ(10億分の1m)の世界は、これまでの化学の常識を一変させる。自分は数十年前に感光性樹脂の研究をしていた。もし、数十年前にナノ技術が存在していれば、感光性樹脂の全く新しい応用分野が拓けたに違いない。技術はスパイラルに進化していくものだ。
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