大企業の味方と言えば経団連だが、中小企業の味方と言えば日本商工会議所だ。その日商の三村会頭が政府の成長戦略会議で「小規模企業の減少は都市への雇用流出に繋がり、地方の衰退を加速させている」と言ったとか。国の定義によると、小規模企業とは製造業で従業員20人以下、商業・サービス業では5人以下の家族経営の零細企業を意味する。近年、地方の零細企業とその従業員が激減していることは間違いない。でも、三村会頭の説は当を得ているのだろうか。賃金が低い地方の若者が賃金の高い都会に流れているのは現実だ。小規模企業の賃金が低いのも事実だ。水が高きから低きに流れるように、雇用で言えば人が賃金の低きから高きに流れるのも自然の理だ。正確に言うと、地方を衰退させているのは、賃金が低いからであり、三村が言うように小規模企業が減少しているからではないと言える。ましてや、小規模企業の減少が地方の衰退を加速させているという主張は、成長のためには何も生まない。少なくとも成長戦略会議の趣旨に逆行している。日商はアトキンソンの本を熟読して生産性向上の重要性を認識し、地方を活性化させるために小規模企業の生産性を上げ、賃金が都市並みに上がるような政策の提言を行うべきだと思う。
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