仙台高裁が初めて福島原発事故で国の責任を認めた。国を被告に含めた地裁判決は、これまで7件で国の責任を認め、6件で否定しており、判断が分かれていたから、高裁の判決がこれからの指針になるはずだ。やっと一歩歩み始めたと言ったところだろう。福島県や隣県に住んでいた約3600人が国と東電に総額約210億円の損害賠償などを求めた集団訴訟で、仙台高裁は国と東電に総額10億余りの賠償を言い渡した。判決のポイントは3つ。1つは、出来たはずの地震予知検討を怠ったこと。事故の9年前に政府の地震調査研究推進本部が発表した地震の長期評価を基に試算していれば大規模な津波が到来する可能性を認識出来たと結論付けた。1つは、国の責任を明確にしたこと。原子力発電所の設置・運営は国家のエネルギー政策であり、国の責任において原発の設置を許可したものだから、国は東電と同等の責任がある。1つは、原発事故を避けることが出来たかどうかについて、国が証明出来ない限り国が責任を負うべきという考え方が示されたこと。特に3つ目の国が証明責任を有するという判断は極めて画期的だ。今後のあらゆる裁判で使われるようになれば、国の無責任さは一掃されることになるはずだ。
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