球磨川の豪雨災害を受け、11年前に計画を中止した川辺川ダムの建設要望が浮上している。球磨川は、最上川や富士川と並んで日本三大急流とも称されている。半世紀前に川辺川ダムの建設が計画されたが、地元住民が反対し、蒲島熊本県知事が「ダムに頼らない治水」を目指すとしてダム反対を表明し、最終的には「コンクリートから人へ」を標榜した民主党政権の前原国交相によって建設事業が中止された経緯がある。東の八ッ場ダム、西の川辺川ダムと長期化したダム事業の双璧だった。でも、八ッ場ダムは完成に至ったが、川辺川ダムは幻に終わっている。完成間近の八ッ場ダムが台風19号の豪雨を受け止め下流域を救ったのは去年のことだった。一方球磨川流域は史上最悪の大洪水に見舞われ明暗を分けた。急峻な地形を持つ日本にとってダムは一つの安全弁だ。偶にしか役に立たないからといって計画を取止めるのは、余りにも近視眼的過ぎる。前原元国交相は、川辺川ダムを中止したことを、いまどう思っているのだろうか。また、当時反対した蒲島熊本県知事は今度は建設要請側に宗旨替えした。気分次第でコロコロ意見が変わる大臣・首長の見識の無さに県民は翻弄されている。
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