今から40年くらい前の頃、化学会社の研究所勤務の時、所員の活性化を図るためアイデアコンペを企画したことがある。その時出てきたアイデアが採用されて実現したものはなかったが、後世になって第三者により実現されたものは多い。例えば、使い捨てカイロ。アイデアは出たが、具体的な達成手段までには至らなかった。自分は「空中に浮かぶ広告塔」を提案した。当時は夢のような技術だったが、その後ホログラフィーやプロジェクトマッピングで可能になった。セルロースの利用も考えた。木材はセルロースから出来ているから資源は豊富だ。だが、セルロースを使い易くする技術がなかった。ところが、技術開発が進展し、今ではセルロースナノファイバーが脚光を浴びている。東京モーターショーでは「木から出来たスーパーカー」が展示されていた。セルロースナノファイバーを樹脂に混ぜると、軽量かつ強靱になる。ガラス強化のFRPと違い燃えるのでリサイクル可能だ。環境に優しい化学技術が着実に歩を進めていることをとても嬉しく感じる。
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