香港の林鄭月娥・行政長官が、ついに逃亡犯条例を撤回すると宣言した。市民100万人の力が中国政府から譲歩を引き出したということだ。香港の政治は返還後に施行された一国二制度にある。返還後50年間は一定の自治が認められている。2047年まで資本主義システムが継続して採用されることになっている。逃亡犯条例の導入は、それまでを待ちきれない中国政府が、早期に取り込むために仕掛けた罠とも言えるだろう。中国政府は逃亡犯条例の導入を見送ったが、五大訴求の残り(デモの暴動認定の取り消し、警察の暴力に対する独立調査、デモ参加者の釈放、普通選挙の実現)に譲歩することはないだろう。あくまで香港を中国に取り込む姿勢は崩さないだろう。でも、長い目で見れば、得策とは思えない。中国の共産党一党独裁が永遠に続くはずがない。豊かになればなるほど、自由な国際圏が近くなる。いつかは自由な国際圏と同質にならざるを得なくなる。香港の資本主義システムを保全しておけば、スムースな移行が可能なはずだ。中国が香港に飲み込まれることになる。その時こそ、中国が世界の指導国になるということだと思う。
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