自分が初めて焼酎を飲んだのは、九州の新入社員研修の夜のいも焼酎「白波」だった。いも焼酎は滅茶苦茶臭くて鼻を噤んで飲んだ。翌朝二日酔いになり、朝食の味噌汁の香りが「白波」の臭さとなり、吐き気がしたことを今でも覚えている。苦い思い出だ。研修が終わり、初任地東京から静岡に転勤した。そば焼酎「雲海」の飲み易さが気に入った。焼酎好きの友人がむぎ焼酎「二階堂」が旨いと教えてくれた。むぎ焼酎は癖も無く香りが良い。そしていつしかむぎ焼酎「いいちこ」に替わった。宮崎県に転勤すると、飲み屋はいも焼酎「霧島」一色だ。初めていも焼酎の旨さを知った。再び静岡に戻り、焼酎も「いいちこ」に戻った。久し振りに「霧島」を飲んでみたが、旨いと感じなかった。土地が旨さを引き出すのかもしれない。退職した後も「いいちこ」だったが、数年前から樫樽で貯蔵熟成のむぎ焼酎「隠し蔵」に替えた。樽の香りと滑らかな飲み口とほのかな甘みが気に入っている。今後も「隠し蔵」を替えることは無さそうだ。でも「隠し蔵」には一つの欠点がある。旨過ぎて飲み過ぎてしまうことだ。もう70歳を過ぎたのだから論語「心の欲する所に従えども矩を踰えず」の心境に達しなければいけないのだが。
コメントをお書きください