金融庁がスルガ銀行への緊急立ち入り検査を始めたとのこと。スルガ銀行と言えば、収益力では地銀のトップクラスだ。昨年森金融庁長官が、カードローンや住宅ローンなど個人向け商品に特化したスルガ銀行の積極的な経営姿勢を「地銀の新ビジネスモデル」と高く評価していた。それが一転して立ち入り検査とは驚いた。森長官に眼識が無かったのだろうか、それともスルガ銀行が欺いていたのだろうか。事の発端は「かぼちゃの馬車」。「かぼちゃの馬車」とは、不動産会社スマートデイズが運営する首都圏の女性専用シェアハウス。同社のセールストークは「頭金なしで投資ができ、30年間家賃収入を保証する」こと。オーナーはスルガ銀行からの融資を受けてシェアハウスを建設。スマートデイズが一括借り上げたうえで女子学生らに転貸し、一定の家賃をオーナーに支払う。ところが年初からオーナーへの賃料の支払いが突然停止され大騒ぎになった。既にスマートデイズは東京地裁に民事再生法の適用を申請した。オーナーにとっては大問題だが、もっと大きな問題が隠れていたようだ。オーナーらはスルガから融資を受ける際に、スマートデイズに預金通帳の写しなどを渡し、銀行との手続きを一任。ところが、通帳の写しが改ざんされ審査が通り易くなっていた。殆どのオーナーはスルガから、金利7.5%のフリーローンで1億円を借り入れていたようだ。利払いだけでも年間750万円もする。スルガは「かぼちゃの馬車」関連で1000億円規模の融資をしているという。不法融資がスルガ銀行とスマートデイズのグルで行われたのは間違いなさそうだ。金融庁長官の目の節穴とスルガ銀行のあくどい消費者金融化が事態の悪化に拍車をかけたようだ。オーナーらは「かぼちゃの馬車」と聞いた途端に、自分はシンデレラではない、これは童話の夢物語だと気付くべきだったのかもしれない。夢は覚めるものだ。
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