京都大iPS細胞研究所の論文不正問題を受け山中所長が陳謝した。マスコミに進退を問われ、不正が起きた経緯の検証や再発防止策などに注力する考えを示した。論文不正の筆頭著者は助教、ひと昔前の助手だ。問題の論文は、ヒトのiPS細胞から脳の血管内皮細胞をつくり血液脳関門と同じ働きが確認できたとする画期的な内容。だが、京大調査委員会により、計17カ所で捏造、改ざんが認定されたという。張本人の助教も改ざんを認めている。改ざんは科学への冒涜で、決して許されるものではないし、科学者失格であることは言うまでもない。最近は東大を始め論文不正が頻発している。何故後を絶たないのかを考えてみた。この研究の費用の大半は寄付金で賄われている。大学の法人化で国からの研究費用や大学運営費が削減され続けられているためだ。そのため京大のiPS研究所でさえも9割以上の教職員が非正規雇用になっているという。この助教も処遇は非正規雇用だ。短期的に成果を出さなければクビが繋がらない。iPS研究は日本が国を挙げて推進すべき分野のはず。国が全面的にバックアップすべきだと思う。山中所長の使命は、iPS研究を推進することだ。だが、研究費捻出のため寄付金集めに駆け回っているのが現状。研究に充てる時間が奪われている。まさに本末転倒と言える。また所長が一助教の論文の真贋などチェックはしない。助教の主任教授に責任がある。問われるべきは主任教授だ。穿った見方をすれば、国やマスコミが国の至宝を海外に追いやろうとしているようにも映る。
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