民法学者は、よっぽど相続関連がお好きなようだ。明治時代に作られた民法は、現在に至るまで殆ど原型を留めている。100年以上も法律の礎である掟が未だに生き続けているということでもある。だがそのなかで、比較的頻繁に改正されているのが相続関連だ。今回の改正もその一貫と見れば納得がいくし、一方現実に近づいてきたとも感じる。多分、莫大な相続を現実にした学者にとっては極めて切実な問題なのだろうと推測することも出来る。法相の諮問機関である法制審議会が、相続関係の民法改正の要綱案をまとめた。これまでは預貯金などの財産が少ない場合、自宅を売却して遺産を分割せざるをえず、配偶者が退去を迫られるのはよく聞く話だ。高齢化社会に対応するためと称し、配偶者居住権なるものを新たに設定するという。20年以上夫婦であれば、住み家は相続税の対象から外される。配偶者は自宅に住み続けることが出来るようになる。息子の妻が介護した場合、相続人に金銭を要求することも出来るようになる。また遺産分割前でも生活費や葬儀費用を故人の預金を銀行から引き出し易くなる仮払制度も創設される。結構なことだ。高齢化が進むなかで、この改正は当を得ていると思う。この法案は22日から始まる国会に提出される見通しだ。明治時代に作られた民法の改正がやっと動き出したような気がする。
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