2週間前ほどに、日産の堕落ぶりを「やっちゃえ日産」に書いて非難したが、どうも実情は違うようだ。国から製造後の完成検査を委託されている正規の検査員ではなく、資格の無い補助検査員が合否を判定していたのだから、日産の無資格検査は間違いなく違法だ。少なくとも法律上は違法だ。でも実質的にはどうなのだろうか。自動車の異常は即大事故に直結するので製造工場は品質管理の塊と言える状態にある。品質は工程で作り込むものだから、各工程には精通した職人が目を光らせている。日本の自動車の品質が素晴らしい由縁でもある。その汗の結晶としての出荷前の自動車を車検として完成検査する人の資格が問題になった。では、完成検査は何をするのだろうか。国交省が求めているのは「公的な車検場における検査官と同等技量を持つという資格制度を社内で設け、資格があると認定された人物が検査を行え」ということだ。言い方を変えると「民間の車検工場と同じ技術レベルで行え」ということだ。エンジンは動くのか、ハンドルは回るのか、ブレーキは正常か、オイルは適正かという類いだ。日産の現場から見れば、完成検査員の格付けは低いに違いない。単に作動をチェックするだけなのだから。日産は今増産中だ。猫の手も借りたい位だ。有能な社員は現場に回し生産性を上げるのが当たり前。現場の物作りに自信があればあるほどその傾向は強くなる。結果として、工場長は現場を重視し、完成検査を軽視した。でも、実質的な間違いでは無い。では、誰が間違ったのだろうか。国交省だ。真面な自動車も作れない時代の検査員制度を未だに続けている国交省にこそ問題がある。国交省は許認可を与えれば済むというものではない。もし、国交省が許認可の内容を見直していて現代風に修正していれば、今回の事態は防げたはずだ。法令に従わない日産にも3分の不備があるが、国交省には7分の責任があると思う。
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