欧米の研究グループが、中性子星の合体で重力波が発生する様子を初めて捉えたと発表した。重力波は、ブラックホールなどの非常に重い天体が運動する際に時間や空間が伸び縮みする「時空のひずみ」が、波紋のように宇宙空間に広がっていく現象。アインシュタインが1916年に予言したが、ひずみは極めて小さく観測は困難だった。ブラックホールが合体した時の重力波を初めて観測したのが2年前の2015年。その研究者らが今年ノーベル物理学賞を受賞と発表されたたが授賞式はまだでホヤホヤ状態。そしてその受賞者らが、今夏中性子星による重力波観測の快挙だ。まさに新しい天文学の夜明けと言われている。中性子星の質量は太陽とほぼ同じで、直径は20kmの超高密度な物体だ。ブラックホールは合体時のエネルギーを内部に吸収するため外からは何も見えない。だが中性子星の場合はエネルギーを外部に放出する。研究者らは世界の研究機関に呼びかけ、多種多様な方法での観測を実現したとのこと。その結果、天文台や衛星が目で見える光や赤外線、電波、X線で観測し、鉄より重い元素の放出が確認された。重い元素は、電子素子や反応触媒などで人類にとって極めて有用だが、どのように生まれたかは推測の域を出ていなかった。これで中性子星の情報が分かるようになる。それが分かると素粒子物理学に示唆を与えることになる。今年のノーベル物理学賞は世紀のノーベル物理学賞と言えそうだ。
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