夕方のニュースによると、今年3月那須茶臼岳での訓練中の高校生死亡事故は「訓練を主催した県の高校体育連盟の危機管理意識の欠如が最大の要因だ」と検証委員会が報告したとのこと。7つの高校の山岳部の生徒らが雪崩に巻き込まれ、生徒ら8人が死亡し40人がけがをした痛ましい事故だった。検証委は「7年前にも同じ雪崩が起き重大事故が起きていた。だが県連盟に報告されず、文書も引き継ぎされていなかった。悪天候にもかかわらず訓練の代替案が事前に準備されていなかった。更に訓練変更の内容は、気象データや専門家の助言に基づいたものではなく、危険性の十分な認識を欠いた状態であった」と当時の指導員をボロクソに指摘している。果たして本当にそれが正しい指摘なのだろうか。事故が起きる前と後では見方が違うものだ。事故前に指導員は7年前の事故を身にしみて感じていたのだろうか。悪天候を予想しても万全の計画を立てる人などいるのだろうか。気象の変動に逐一専門家の助言を仰ぐ山男などいるのだろうか。次々と疑問が湧いてくる。簡単に言うと検証委の検証は後付に過ぎないと思う。では、実際の現場ではどうだったのだろうか。あくまで推測ではあるがこうだ。訓練に参加した高校体育連盟の幹部には冬山のベテランがいた。ベテランの言うことは絶大だ。異論を挟もうとしても誰も挟めるはずが無い。権威とはそういうものだ。そういうものは検証しても表には現れない。もっと厄介なことは、ベテラン自身がオピニオンリーダーであったことに気付かないことだ。でも、ベテランは、きっと管理者全員の責任とした検証委の報告に納得しているに違いない。結果として検証委の検証は役に立たないものと言えそうだ。
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