核の屁理屈

8月6日広島原爆の日と8月9日長崎原爆の日。安倍首相が両日の平和祈念式に参列し、哀悼の意を表し挨拶を述べた。枕詞は広島と長崎の違いはあるが、中身は同じ。中身は「核兵器のない世界と恒久平和の実現に向けて力を尽くすことを誓う。その実現のためには、核兵器国と非核兵器国双方の参画が必要だから我が国は双方に働きかけ主導していく」。そして長崎の記者会見で「国連で採択された核兵器禁止条約は、我が国のアプローチと異なるから、署名、批准を行う考えはない」との方針を改めて示し「日本が参加すれば核兵器国と非核兵器国の隔たりを更に深め、実現をかえって遠ざける結果となる」と主張した。そんな事はない。非核兵器国である日本が核兵器禁止条約を批准したからといって、双方の隔たりが深まる訳がない。数の上でも隔たりは浅くなる効果があると見るのが常識だ。ましてや世界で唯一の被爆国である日本が条約を批准すれば、核兵器のない世界に大きく一歩近づくことになるはずだ。安倍の論理は屁理屈だ。日本が条約を批准しないのは、米国の核の傘に守られていると思っているので、米国に遠慮しているからに他ならないことは自明なことだ。一流の国であれば、たとえ安全保障条約を締結していても、核兵器はNOと言う。そのNOと言う相手は、特定の国ではなく全ての核保有国と保有国になりつつある国。非核兵器国が核兵器国に媚びへつらうことこそ益々核を拡散させることになるはずだ。

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コメント: 2
  • #1

    田中 (金曜日, 25 8月 2017 21:42)

    広島や長崎の平和式典で歴代総理が何十年も言い続けてきた核兵器廃絶の訴えが全く無意味なものになった。もし保有国を含めた別の枠組が必要ならば、批准した上でそういう枠組を作るよう動くべきだ。屁理屈としか言いようがない。正々堂々と米国が反対だから賛成できない、と言えばいい。

  • #2

    nishinari (日曜日, 27 8月 2017 15:34)

    田中さんのご意見の通りだと思います。更に一歩踏み込んで、米国は反対しているが日本は賛成すると言えば、極めて真っ当だと思います。