昨日、政府主催による東日本大震災の追悼式が開かれた。未だに福島県には、震災と原発事故により県内外に避難している人が約8万人もいるのが現状だ。特に放射能に汚染された地区の人々の生活は深刻だ。帰るに帰れない。事態は少しも進展していない。毎年追悼式では首相が原発事故の悪影響を語ってきた。ところが、安倍首相は今年の追悼式の挨拶では「復興は着実に進展していることを実感します」「福島においても順次避難指示の解除が行われるなど、復興は新たな段階に入りつつある」と述べ「原発事故」には一言も触れなかった。「復興」という言葉で「原発事故」を覆い隠しているように見える。安倍の頭には最早「原発輸出」しか無いのかもしれない。「原発輸出」を優先するので、意識的に「原発事故」という言葉を避けたのだろう。マジシャンが良く使う手だ。右の手に注目させて左の手で隠しながら手品の種を操る。森友学園問題も同じ構図だ。これ以上森友問題を追及されると政権が危うくなると恐れたのだろう。突然降って湧いたように「南スーダンからの自衛隊撤収」を発表した。自衛隊撤収が右の手で、森友問題が左の手だ。尤も自衛隊の撤収は去年10月の予定だったが、突如延期された。強い反対があった安保法を既成事実化するため、急遽「駆け付け警護」と「宿営地の共同防衛」の任務を与えたのだろう。南スーダンは戦闘状態だ。PKO参加五原則では、紛争当事者間で停戦合意が成立していることが大原則。初めから逸脱している。延期せずに即撤収すべきだった。今度は、右手が自衛隊延期で、左手が既成事実化だ。下手なマジシャンだと思う。
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