経済協力開発機構OECDが、72カ国・地域の15歳男女約54万人を対象として2015年に実施した国際学習到達度調査PISAの結果を公表した。日本は科学的応用力が最高の2位、数学的応用力も7位から5位に上昇し「脱ゆとり教育」の効果が着実に表れた内容だ。嘗て、ゆとり教育により読解力が15位まで急落したPISAショックが、脱ゆとり教育の引き金になったのだからPISA様々と言える。しかし今回の調査では、読解力が4位から8位に落ちた。文科省は科学的応用力と数学的応用力の向上は「指導要領に加え、実験や観察に力を注いだ授業の効果が大きい」と分析し、読解力の低下は「筆記型からコンピューター使用型調査に変わり、解答に手間取った可能性がある」としている。確かに、脱ゆとりにより科学的応用力と数学的応用力が向上したことは間違いない。実験や観察に力を注いだ効果もあるだろう。だが、読解力の低下の要因説明はおかしい。コンピューター使用に戸惑ったのであれば、科学的応用力などへの回答も戸惑うはず。専門家が指摘している。日本の読解力は、文学作品の鑑賞に偏り過ぎている。読解力の定義を、書かれたテキストを理解、利用するというPISAが求める国際標準の定義に変えていくべきだと提言している。文科省は脱ゆとり教育に舵を切り替え、実験や観察に力を注いだのだから、きっとPISAの求める読解力の国際標準にも変えて行くことが出来るに違いない。それにしても、文科省の考え一つで、こうも変わるとは。文科省の恐ろしさを知った。全国民は文科省の動向には最大の注視が必要だ、ということが実証されたと言えそうだ。
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