優れた報道に贈られる今年度の新聞協会賞の授賞式が行われた。受賞作は「天皇陛下の生前退位のスクープ」「熊本地震の奇跡の救出」「鬼怒川決壊濁流からの救出」「東日本大震災5年」「中国新聞SELECTの創刊」の5件。生前退位意向のスクープ、東日本大震災5年後の検証、中国新聞の夕刊離れ対策などの受賞は納得出来るが、熊本地震と鬼怒川決壊からの救出は受賞に値するのだろうか。熊本地震で倒壊した家屋から赤ちゃんを救出する様子を撮影したり、娘の遺体を確認して泣き崩れる両親の悲痛な姿を捉えたことが、多くの人に衝撃を与えるとともに熊本地震の実態を伝えたと高い評価を得たという。熊本地震の時、報道関係者が無遠慮に被災者を撮りまくり、被災者たちから「帰れ」コールを受けたニュースを思い出す。記者が倒壊現場には目もくれず千載一遇のチャンスと、必死に人命救出現場を探す様子も放送された。欧米では災害時に報道機関が揃って殺到することはない。状況の報道は1社に任せ、他社はそれを放送する取り決めがあるようだ。勿論、災害現場の救出活動を邪魔しないためであるし、被災者の心情も考慮しているからだ。それに較べ日本の報道は情けない限りだ。救出活動の邪魔はするは被災者の心情などお構いない。挙げ句の果て、救出活動の邪魔をして、被災者の心情を傷つけた報道関係者たちを表彰する始末。何とも情けない新聞協会賞だと思う。
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