菅官房長官が記者会見で「乳児用液体ミルク」製造販売の解禁を検討する考えを明らかにした。大仰に、政府の男女共同参画会議で検討するという。何か変だ。「乳児用液体ミルク」は欧米では広く普及している商品だ。液体ミルクは、災害時だけでなく、外出時や赤ちゃんを預けた時や夜中の授乳やイクメンにとっても、是非あってほしい商品で、要望は強い。先の熊本地震では、フィンランドから救援物質として配布され極めて重宝がられたという。何故日本では禁止されているのだろう。何故厚労相ではなく官房長官が記者会見するのだろう。専門会議にかけるほどの議題なのだろうか、と次々に疑問が湧いてきた。そこで調べてみた。厚労省は省令で液体ミルクの存在を認めていない。だが禁じている訳ではないと言う。一方大手乳業メーカーは厚労省の規格が無いので製造販売が出来ないと言う。どうやら国内で液体ミルクが製造販売されない理由は2つありそうだ。1つは厚労省の怠慢。阪神・淡路大震災時も国内販売の要望が強かったが20年間もほったらかしにした。もう1つはコスト。液体ミルクは粉ミルクに較べ製造原価が2倍で物流コストも入れると3倍になる。乳業メーカーは作っても売れないと思っているから、省令だ安全性だと屁理屈をつけて作らない。欧米では乳幼児の食品に対する国民意識が高く、液体ミルクの製造に国家予算を投じている国も多いという。結局政府は少子化対策と口では言いながら、その意識は極めて低く具体策に踏み込めない。液体ミルクの解禁は、決して官房長官の仕事ではなく、厚労省局長レベルの判断で済むはずなのだが。
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