運用総額約130兆円の世界最大の年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人GPIFが、巨額の運用損を計上した。この1年間の日本株式の評価損益はマイナス13兆円を超えている。2014年10月からポートフォリオを大幅に入れ替え、日本株の保有比率を12%から25%と大幅に引き上げた。一時は株価上昇で利益は出たものの、現在は2014年からの累積収益率はマイナスに転落してしまった。大切な年金の原資が実質的に目減りしているのだ。GPIFは、EU離脱による円高や世界的な株式市場の下落や米雇用統計が事前予想を大きく下回ったこと等を言い訳にしているが、そういう問題ではない。年金をリスクの高い株式に25%も運用する事自体が間違っているのだ。しかも、GPIFと日銀を合わせた公的マネーが東証1部上場企業の4社に1社の実質的な筆頭株主となっているという。公的マネーは企業を選別せず、株価指数に沿って広く薄く投資するパッシブ運用が中心だ。業績の悪い企業も株価が上がるから、優良会社もダメな会社も見分けがつかなくなる。浄化作用が効かなくなる。公的マネーが日本株式の7%も占めている。損きりを始めて撤退に向かえば、崖を転がり落ちるように株式市場は暴落してしまう。最早公的マネーは市場から撤退することも出来ない。安倍政権の大失敗だと思う。それにしても、何故誰も騒がないのだろうか、不思議な世の中だ。
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