リオ五輪もそろそろフィナーレを迎えようとしている。想定外と言っては失礼だが、日本選手の頑張りがやけに目立った大会だった。従来の日本選手は、ここ一番という時に実力を発揮出来ず敗れ去るのが常であった。だが、柔道や卓球、バドミントン、水泳そして陸上競技も頑張りがものをいった。次期大会が東京という要因も無いとは言えないが、日本選手の精神力は間違いなく一段前進したと感じる。勝者が笑い、敗者が泣くのはスポーツの定めだ。だが、敗者が称えられ、勝者が国家の恥と蔑まされた出来事もあった。陸上女子5000m予選の出来事。米国とニュージーランドの選手同士が接触し転倒。通常であれば、接触した相手を罵り、再び走り始め、自分の不運を嘆くものだ。ところが、ダゴスティノ選手とハンブリン選手は違かった。ダゴスティノ選手が先に立ちあがったが、ハンブリン選手は立ち上がれない。ダゴスティノ選手はそのまま走らずに、泣いているハンブリン選手を助け起こし「立って。最後までやらないと」と励ました。レースに復帰すると、ダゴスティノ選手の怪我が思わしくなく、今度はハンブリン選手がダゴスティノ選手を励まし続けた。ダゴスティノ選手は怪我をおし、最後まで完走。ゴールで待っていたハンブリン選手がダゴスティノ選手を抱きかかえ称賛した。二人はタイム上は予選を通らなかったが、大会側は決勝出場を認めたとのこと。二人は競技の金メダルは獲れなかったが「五輪精神の金メダル」を手中にした。一方、水泳で金メダルを獲得したロクテ選手は愚かだ。ガソリンスタンドで仲間と狼藉をはたらいたため、警備員に拳銃を突きつけられ賠償金を支払わされた。だが、その事実を「強盗に拳銃を突きつけられお金を巻き上げられた」とでっちあげた。しかも、仲間を残し自分は一人で米国に帰ってしまった。後日、真実が明らかになり、ロクテは今では「米国の恥」と言われている。金メッキが剥がれ落ち地金の鉛がむき出しになってしまったようだ。五輪は人格も篩にかけるのかもしれない。
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