腸内の悪玉菌の増殖を抑え、かつ善玉菌には作用しない抗体をマウスの体内から発見したと奈良先端科学技術大学院大などの共同研究チームが発表した。ヒトの細胞総数は約60兆個だが、腸内に生息する細菌の数はその十数倍の約1000兆個。通常そのうちビフィズス菌、乳酸菌など健康維持に貢献する善玉菌が1~2割、有害物質を生み出す悪玉菌が1~2割、体が弱った時に悪い働きをする日和見菌が6~7割で存在しているが、そのバランスが大事だという。悪玉菌が増えると腸の働きが悪くなり、便秘や下痢、免疫力の低下などを引き起こす。更には大腸ガンや難病の潰瘍性大腸炎を発症する恐れがある。ヒトの免疫機能の7割以上が腸に集中していて、腸は消化器官としてだけでなく免疫器官でもあるとのこと。バランスは重要だ。潰瘍性大腸炎の従来の治療法である抗炎症剤や免疫抑制剤の投与は副作用が大きく、抗生剤投与は善玉菌も殺してしまう欠点がある。今回発見した抗体は、悪玉菌だけを殺すというから優れものだ。今はマウス実験段階だが、将来は世界初の経口用抗体の炎症性腸疾患治療薬が生まれそうだ。潰瘍性大腸炎に悩む安倍首相も、あと10年も経てばトイレの心配をしないで済むようになるかもしれない。最近腸内フローラという言葉を時々聞く事がある。腸内の壁面に細菌が種類ごとに分かれてびっしりと張り付いている様が花畑(フローラ)に見えることから腸内フローラと呼ばれているらしい。今までは、腸は単なる消化器官と思っていたが、機能は中枢の免疫器官であり、様相は花畑とのこと。腸を見直した。腸内バランスを大事にしなくてはいけない。
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