「働かないアリは組織の存続に不可欠だ」と、北海道大学大学院長谷川准教授が科学雑誌に発表した。働きアリの巣では、ほとんど働かないアリが常に2~3割いる。その働かないアリは他のアリが疲れて働けないとき、代わりに働いて労働の停滞を防ぐことを発見したという。アリの巣を維持するには、卵の世話など短時間でも中断出来ない仕事があるらしい。全てのアリが働いて疲れてしまうと、世話するアリがいなくなり、巣を維持出来なくなってしまう。だから巣を守るため、予備軍として休んでいたアリが働き始めると言う。面白い仕組みだと思う。サルなどは社会性生物といい、ボス以外でも子供を作り育てている。一方、アリなどは真社会性生物といって、女王のみが繁殖しその他のアリは子育てに徹する。繁殖について分業が確立されていて、言葉の意味は分からないが「真社会性」という文字がぴったりするような気がする。更にアリは、巣場所を選ぶとき、いくつかの候補の中から一番いいものを短時間で選ぶそうだ。1匹だと大したことは出来ないが、集団で行動して最適値を見出す能力があるとのこと。長谷川准教授は、アリのその能力に着目して、人工知能に応用出来ないかを考えているようだ。そう言えば、人間の集団でも、2割が働き2割がサボっているのが通常の集団だと聞いた事がある。だが働き者の2割を集めて集団にすると、また2割が働き2割がサボるようになるという。では、サボリの2割を集団にするとどうなるのだろうか。2割の働き者が出て来ると期待する前に、結果が恐ろしくて考えたくもない。どうやら人間よりもアリの方が自然に対しアリノママニ生きているようだ。
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