日中が受注合戦を繰り広げていたインドネシアの高速鉄道建設で、日本有利と見られていたが土壇場で中国にひっくり返されたことは記憶に新しい。インドネシアは我が国最大のODA援助国で、間違いなく日本の新幹線技術が導入されるものと思われていた。ところが昨年9月に、いざフタを開けると中国に決まった。中国はタダ同然で作ると言うのだから、インドネシアも喜んだに違いない。その後、起工式が行われたものの工事は一向に進まず予定が大幅に遅れる可能性が出て来たようだ。着工されないばかりか、工事許可も下りていないのが現状とのこと。以前から日本は本気で受注を期待して現地調査を行い、詳細な計画を立てていたという。ところが、その内容が中国に漏れ、中国は日本案と同じ内容で、かつタダ同然の価格提案をして勝ち取ったようだ。だが、鉄道建設には、トンネルや地盤強化のハイテク技術が必要だ。当然日本はハイテク技術を持っているが、中国には無い。だから中国が日本の仕様をコピーしても実施することは不可能。結果として工事が着工されない状況にあるようだ。このような状況下で一番困っているのはインドネシアだろう。「安物買いの銭失い」という諺がある。でもインドネシアは銭を失った訳ではない。だが、安物買いのため経済発展のチャンスを逃してしまったようだ。災いを転じて福となすためには、インドネシアのジョコ大統領は「安かろう悪かろう」の深い意味を勉強すべきだろうと思う。
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