産業革新機構による出資で決まりかけていたシャープの再建計画が土壇場でひっくり返った。ホンハイの郭会長が直接シャープに乗り込み支援額を7千億円超に積み増したのが決定打になった。産業革新機構の支援額は3千億円だから、当然と言えば当然だが、それにしても優柔不断のシャープ役員が、よくコロッと寝返りが出来たものだと感心した。裏話によると、社外取締役が、7千億円と3千億円を比較して3千億円を選ぶと自分たちが善管注意義務違反に問われかねないという危機感から、産業革新機構路線に強烈な待ったをかけたためという。案の定、シャープ生え抜きは決断には関与していなかったようだ。そもそも、産業革新機構によるシャープ再生案は、液晶事業はジャパンディスプレイと統合し、白物家電などは、会計不祥事で赤字に苦しむ東芝と再編し、一気にエレクトロニクス産業の競争力の回復も図ろうというもの。だが国が腐れかかった大会社を更生させるため、踏み込む事は間違っていると思う。腐るには腐る理由があるはずだ。もし自力で更生出来ないのならば、腐るものは腐らせた方が良い。ましてや、この種のものに税金をつぎ込むなど以っての外だと思う。一方、ホンハイは技術の海外流出はさせない、雇用は守ると言っている。シャープはそれを信じたようだが、信じられるだろうか。たとえ、そのような契約が結ばれたとしても、1~2年後には反古になる。経営陣を総入替して契約を破棄すれば事足りる。結局ホンハイによってシャープというブランドと技術は生き残るが、それ以外は消滅することになるはずだ。シャープの滅亡は、社外重役を含め歴代の経営者に責任があると思う。
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