ロシアのリオ五輪参加が危ぶまれている。国ぐるみの組織的なドーピングが発覚したからだ。事の発端は、独テレビでの元ロシア選手のドーピング告白。これを受け世界反ドーピング機関WADAが第三者委員会を設置し調査をしてきた。調査の結果、ロシアの陸上界で組織的なドーピングが横行していると認定し、ロシア陸連の資格を停止し、ロシア選手の大会出場を禁じる処分を国際陸上競技連盟IAAFに勧告した。モスクワでは保存が義務付けられている検体が1400件以上意図的に廃棄された。選手とコーチと関係機関がグルになって隠蔽に関わっていたようだ。更にIAAF会長は多額な賄賂を得て、事実隠しに加担していたとのこと。まさに国ぐるみ、国際陸連まみれの一大ドーピング事件のようだ。事実であればロシアのリオ参加は絶望的だ。これで飛ぶ鳥を落とす勢いのプーチン大統領は難題を二つ抱え込むことになった。一つはISによるエジプトのロシア機撃墜事件、新たに加わったのがドーピング発覚によるリオ五輪出場停止。ロシア機撃墜では幼い子供を含む200名以上のロシア人が犠牲になった。シリアにおけるIS攻撃に対するISの報復とはいえ、対処次第でプーチン非難は避けられない。でもテロとの戦いという錦の御旗があるので、何とか切り抜けることは出来るかもしれない。それに較べドーピング隠蔽事件は厄介だ。この種の事件は調べれば調べるほどウミが出て来る。かと言って、調査を阻止すれば増々疑惑が深まってしまう。もしリオ五輪不参加になればプーチン人気は一気に冷めて大統領の地位も危うくなるかもしれない。恐らくプーチンは電光石火の如く、少しでもドーピング隠蔽に関わったとみられる全ての関係者と組織を大胆に断罪し、再出発を目指すに違いない。今のプーチンにとって、リオ五輪不参加の選択肢は政治的にあり得ない。
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