日中韓首脳会談が3年半ぶりに開かれたらしい。「らしい」と言うのは、会談内容が公表されないからだ。中国と韓国は日本の歴史認識を、日本は中国の南シナ海進出を問題視し、互いに主張を繰り広げたらしい。隣国同士が3年以上も首脳会談をしなかったのだから、それが極めて異常で、久し振りとは言え会談が行われたことは一歩前進に違いない。これをきっかけに対話が進むことが望まれる。だが、今回の会談で最も懸念されることは、会談内容が公表されないことだ。公表されないという事は、主張はしたが一致点は無かったということだろう。この種の国際会議でいつも禍根を残すのは、主張したことへの同意が得られなくても、当人は主張が認められたものと解釈し後でゴタゴタを生むことだ。あと半年もすると、中国と韓国は、日本は歴史認識を変えていないと反発し、日本は韓国に解決済みの歴史認識をまた繰り返すのかと騒ぐに決まっている。数年前の尖閣諸島問題も同じだった。1972年の日中首脳会議で、周恩来が「尖閣問題は今回話したくない」と言ったことが、後日1978年、鄧小平は「尖閣に触れないことを約束した」と言い、日本は「約束したことはない」と言って闇の中だ。会談の公式文書は残っていない。残らないように話をしている。残らないから、後付で多様な解釈が可能だ。拠り所は公式文書の存在。これだけが上辺の事実として残ることになる。でも、今回の日中韓首脳会談は会談内容の公表も無いから公式な記録も存在しない。今後のやり方次第では禍根を残すことになる。日中韓首脳たちはまるでサーカスのように極めて危ない綱渡りをしているようにも見える。
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