下村文科相が全国の国立大学に対し、中期目標策定時に教員養成系と人文社会科学系の学部・大学院を廃止や見直しに取り組むよう通知したことが波紋を広げている。少子化だからこれ以上教員養成は不要だし、社会に即戦力にならない学生はいらないという経済界の意向に応えたようだ。一見正当な意見のようにも思えるが、真面目に考えてみると文科省の通知は的外れにみえる。本当に教員養成学科は不要なのだろうか。勿論従来通りの教員を型に填めて増産するのであれば不要と言える。しかし現在は教育の質自体が変わりつつある。8日のブログにも書いたが、今は受動的な講義から能動的な教育に変わる過渡期にある。従来型の先生はいらないが、未来的な先生は不足している。言い方を変えれば、教員養成の内容を改革すれば寧ろ増員が必要な状況にある。今教員養成学科を減らしてしまえば、教育の質の低下が早まるだけだ。一方人文社会科学は本当に会社に役に立たないのだろうか。経済界が即求める理系ばかりを育成すると科学的には発展するかもしれない。しかし会社や社会の成長は、科学だけによるものでもない。科学と経済と歴史を勘案して舵を取る人が必要になる。そういうバランス感覚のある人が人文社会系の人に多いのも事実だ。下村文科相の言う事は、何かにつけ薄っぺら過ぎる。東京五輪の総括者として失敗してしまったし、文科相としての判断も基本的に間違っている。しかも文科相としてあってなならない政治献金問題も博友会でバレテしまった。これだけ質の低い文科相も珍しい。安倍首相のオトモダチという命綱も風前の灯のようだ。
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