増田元総務相が座長を務める日本創生会議が「老人は地方へ」と提言し波紋を広げている。今後高齢者が急増する首都圏では医療介護サービスの供給が追いつかなくなるから、老人は盛岡や高松や熊本など供給に余裕のある都市に移住すべき、という内容だ。この提案を受けて政府の地方創生策が動き出すというが、果たしてこの提案は的を射ているのだろうか。一時流行った米国の元気な富裕高齢者だけが移住してスポーツや娯楽を楽しむニュータウン作りを見習って、日本版の構想を練るようだ。だが、このニュータウンは既に失敗している。元気だった高齢者が、すぐに要介護になり介護タウンになってしまった。同じことを日本ですれば、地方に負担を押し付けるだけになる。更に高齢者には転居自体が負担だ。転居がきっかけでコミュニティがなくなり、鬱になったり認知症が進む恐れは充分にある。従って「老人は地方へ」ではなく「老人は地元で」生活出来るよう、首都圏の医療介護サービスを高めるべきだ。一方地方創生相は「若者を地元に」引き留めるか「若者を地方へ」向かわせる政策を編み出すべきだと思う。
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