昨年に引き続き今年もバターを緊急輸入するという。バター命のパティシエたちは困っている。去年このブログでバター緊急輸入の不思議を書いたことがある。全く同じ事が起きたのは何故なのだろう。当時は「農水省がバターよりもチーズを優遇する補助金に変えたので、生産者が生乳をチーズにより多く振り向けた。単なる農水省の行政ミスなのだ」と推測した。ところが、今年になってそれが大間違いだったことが分かった。チーズをバターよりも優遇するには明確な理由があるようだ。一言で言うと「国内酪農家の保護」。バターはコメや小麦などと同じ政府管理の国家貿易になっている。政府はバターと脱脂粉乳に高関税をかけ、国内の酪農家を保護している。何故バターと脱脂粉乳なのだろう。理由はこうだ。牛乳からバターの成分となる油脂分を除いたのが脱脂粉乳だ。逆も真なりで、バターと脱脂粉乳を水に溶かせば牛乳に戻すことが出来る。しかしチーズでは戻らない。政府は国内の酪農を保護するため、国内に流通するバターと脱脂粉乳は国内産で賄い、不足分を政府が輸入し乳業メーカーに売り渡す仕組みを作っている。姑息なやり方だと思う。もしTPPが成立すれば、このやり方が国内酪農を壊滅させることになる。政府は、正々堂々と国内酪農を国外と戦えるよう育成する方策をとるべきだと思う。
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