日本橋三越本店に「地平アイコ」というロボット受付嬢が登場した。まだニュースでしか見たことはないが、人間らしい容姿で表情豊かに館内案内を説明している。登場初日とのことで、物珍しさも加わり大盛況だ。地平アイコは東芝製のロボット。身振りを加えて台詞をしゃべるが、情報内容はWEBに繋がった電子看板であるデジタルサイネージを見る必要がある。人間との音声による対話は出来ない。プロトタイプの価格は1体数千万円と高額だ。店長は、笑顔を絶やすことなく正確に繰り返し説明出来ることや、単なるデジタルサイネージだけの情報提供よりも顧客の記憶に残り易いと強調するが、果たしてそうだろうか。ひと昔前に登場したしゃべる飲料自販機を思い出す。飲み物を買うと、自販機が「ありがとうございました」と言う。初めて聞いた時は驚いたが、2回目は「バカか」と思った。それ以降は言葉が耳を素通りした。単なる雑音にしか聞こえなくなり、更にはその雑音にも気付かなくなる。機械が発するお礼など無用の長物だ。アイコの笑顔も同じ運命を辿るに違いない。どうやら店長は思い違いをしているようだ。人が感動するのは笑顔ではなく生きた受け答えだ。ロボットにはロボットにしか出来ない仕事が適している。例えばアイコを如何なる言語でも音声による対話が出来るようにして、外人専用コンシェルジュ嬢にする。ヒト型ロボット技術は日本の独壇場だから、外人にウケること間違いなし。来日客は、挙って三越本店を目指すことになるかもしれない。
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