NHK番組「クローズアップ現代」は、現代の問題点を的確に捉え掘り下げも深く良質な番組だと思っていた。比較的よく見る番組で、当然内容は事実に基づくものと信じていた。だが昨年放送された「出家詐欺」は、ヤラセ報道だと問題になっている。自分は感心しながら見ていたので内容をよく覚えている。もうこれ以上借金が出来ない多重債務者が、出家の手続をして改名すると、別人になりすまして更なる借金が出来る。そして出家の紹介者は更なる借金を得た多重債務者から報酬を得るという内容だった。世の中には悪い事を考え付く者がいるものだ、お寺も落ちたものだと思った記憶がある。ところが、放映された多重債務者と紹介者は実在の人物ではなく、NHK記者が演技指導までしたヤラセだったとのこと。役者は再現映像の撮影だと思っていたが、実写として放映され被害を被っているようだ。しかも放映後に記者に抗議をしたところ口止め料の支払いを提案されたとか。役者は放送倫理・番組向上機構であるBPOへの人権侵害の救済申し立てを検討中とのこと。籾井NHK会長は矢面に立たされている。BPOの出番であるし、経営陣の責任でもある。だが最良の方法は「クローズアップ現代」で、真実版を特集することだ。記者は何をしたのか、番組責任者はどう関与したのか、経営陣はどのように対処したのか、再発防止のためどのような対策を取ったのかの真実版だ。ただ真実版が更なるヤラセにならないことは、祈るしかないようだ。
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