STAP細胞で揺れた理化学研究所の野依理事長が3年の任期を残し退任することになった。文科省はSTAP細胞問題の引責ではないとは言っているが、それ以外の理由は見当たらない。野依は会見で「STAP問題の最大の責任は現場の研究者にある」と最後まで現場に罪を押し付け自分の公的責任を認めようとはしなかった。何のために組織のトップはいるのだろうかと疑問に思う。この1年間理研はSTAP問題で嵐が吹き荒れた。論文の発表と撤回、小保方の釈明会見、笹井副センター長の自殺、調査委員会の設置や報告、告訴、小保方の退職等々盛り沢山だった。しかし野依が会見に現れたのは良いとこ取りで論文の発表くらい。野依は死んでしまった笹井について「シニアになればなるほど故意であってもなくても、起こした問題への責任は大きい」と発言している。野依自身こそ、この言葉を噛み締める必要がある。論文不正を無くすことも、組織として問題に迅速に対処することも、理事長一人の決断ですぐに実行出来たはずだ。STAP細胞問題について理事長の公的責任は重い。ノーベル賞学者だからといって優れた経営者になれる訳ではない。平凡な経営者にすらなれなかった。3年余して理事長を退任することは、理研にとって朗報と言えそうだ。
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