5年前のサントリーによるキリン経営統合は破談に終わったが、再び現実味を帯びてきたようだ。サントリーがキリンの売上高を抜き、初めて食品メーカーの首位に立った。5年前は、小が大を飲むとか、庇を貸して母屋を取られるかとか騒がれていた。その後の両者の勢いは対照的だ。まさに浮かぶサントリー沈むキリン。M&A戦略の違いで、こうも変わるのかと思うと恐ろしくなる。サントリーは米国大手のウイスキー会社を買収し、キリンは世界のビール会社を手に入れ事業拡大を図ってきた。ウイスキーは価格も高く輸出入向きで、スコッチやバーボンなど産地がブランドでものをいう。だからサントリーウイスキーの拡販にも相乗効果がある。ところが、ビールは鮮度が命だから基本的に地産地消で、しかも価格が安いから輸出入には不向き。海外のビール会社をいくら買収しても輸出による拡販は望めない。サントリーもキリンも同じように間口を広げたが、深さはサントリーが深くキリンは浅かったと言えそうだ。その内サントリー印のキリンという銘柄を見ることになるのかもしれない。
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