伝統的な芸能分野で高い技術を持つ重要無形文化財の保持者である人間国宝に、古典落語の柳家小三治が認定されたとのこと。小三治は、いかにも昔の職人気質の塊のように見える。しかもインタビューがユニークだ。「こんなものを欲しいとは思わなかった。敢えて言っときましょ(逆説的に)とても嬉しかったと」と答えた。自分は落語界の事情など全く知らない。そこで早速ネットで調べてみた。すると驚くことに柳家小三治の業界での評判は悪い。言う事とやる事が違い過ぎるようだ。所謂硬派だ。何であんな奴がと言う。それを額面通りにとると本人の先の言葉は「超ラッキー、嬉し過ぎて言葉に言い尽くせない」というように聞こえる。真面に考えると業界では桂歌丸が本命だったようだ。古今亭今輔の弟子が桂米丸で、米丸の弟子が歌丸。歌丸は苦労と同時に落語界を背負い大変な思いをしている。歌丸が受賞するのが妥当なのかもしれない。落語の良さは勿論古典にあるがそれだけではない。落語を後世に残すには新作が必要だ。新作に落語人生を掛けた桂米丸こそ現代の国宝に値すると思う。小三治は硬いが米丸は柔らかい。米丸のあの当りの軟らかさしに惑わされてはいけない。新境地を拓く鉄人なのだ。こう考えると、人間国宝は歌丸に、そして庶民国宝というものがあるのなら米丸に受賞してもらうのが最適と結論される。一体誰が人間国宝を選ぶのだろうかと疑問が生じてきた。
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