血縁か戸籍かが争われた父子関係訴訟で、最高裁は戸籍と裁定した。果たしてこれで良いのだろうか。婚姻中に夫以外の男の子を生んだ裁判で、たとえ夫以外の男とDNA鑑定が証明しても、その子の父は戸籍上の父で覆らないという。民法では「妻が結婚中に妊娠した子は、夫の子と推定する」とある。最高裁はこの条文を拡大解釈し「民法は法律上と生物学上の父子関係が一致しないことも認めている」とした。だがこの条文は明治時代に設けられたものだ。明治時代であれば「夫の子と推定する」とする以外になかった。しかし現在では科学が進歩し「推定」を「断定」に変えることが可能だ。最高裁は二つの間違いを犯した。一つは、民法を拡大解釈したこと。もう一つは、民法を改正すべきと裁定しなかったこと。更にもう一つ加えれば、この種の父子関係はケースバイケースで夫々事情が大きく異なるので、一義的に戸籍上の父と決めつけるべきではなかった。最高裁は子供の身分関係の法的安定性を保持する必要があると言っているが、これも違う。子供の精神的安定性が優先されるべきだろう。最高裁は良識が欠けているようだ。
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