今年のノーベル平和賞は化学兵器禁止機関に贈られた。昔からノーベル平和賞が授与された人物や団体には、しっくりこないものが多い。今年の化学兵器禁止機関もその一つだ。シリアが化学兵器を廃棄すると言い出したので、化学兵器禁止機関が現地に行って処理を始めた。シリア政府が協力的で順調に進んでいるという。化学兵器が廃棄されることは大変喜ばしいことだが、この廃棄は化学兵器禁止機関が声高に主張した結果ではない。今までにも化学兵器禁止機関が化学兵器廃棄を大幅に促進した実績がある訳でもない。化学兵器の廃棄処理は、化学兵器禁止機関の責務の一つだ。職務を実行しているに過ぎないとも言える。ただ戦火の中での処理作業は命がけだ。職務とはいえ、現地に赴いた人々の使命感には頭の下がる思いがする。これが評価されたのならばある程度納得は出来る。しかし本来化学兵器禁止機関が平和賞を受賞するとすれば、その理由は化学兵器禁止機関を創設した人か、化学兵器の廃棄や禁止の実績に対してであるべきだろうと思う。
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