東日本大震災の津波に耐えた陸前高田の「奇跡の一本松」が復元された。約7万本あった高田松原で唯一なぎ倒されず生き残ったが、海水で根腐れし枯死したため樹脂で加工されてモニュメントになった。費用は約1億5千万円で募金で賄われるらしい。そもそも松は根が浅いので津波の防潮林としては適していなかったようだ。津波の防潮林として役目を果たしたのは宮脇昭横国名誉教授の推奨する混植・密植型植樹だったとのこと。この事実に基づき「森の長城プロジェクト」が結成されて300kmにも及ぶ東日本海岸を9千万本の植樹で森の防潮堤を作る計画が始動している。当初から奇跡の一本松復元には疑問を持っていた。津波に耐えた一本松が枯死せずに生きながらえていれば、生還の象徴として大事にする気持ちは痛いほど分かる。しかし枯死した松を保存することにどれ程の意義があるのだろうか。被災した人はその松を見て何を感じるのだろうか。数十年後に見る人はモニュメントの意味を理解出来るのだろうか。一時の感傷で無駄なものを作ってしまったように思えてならない。1億5千万円ものお金があれば「森の長城」に使うべきだったと思う。過去の思い出作りより、未来の景観と安全を作り出す努力の方が遥かに価値があると思う。
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