シェークスピアの史劇「リチャード三世の悲劇」で有名な実在したリチャード三世の遺骨が500年ぶりに発掘された。DNA鑑定で本人であると確認され、CTスキャンで顔も復元された。シェークスピア劇に登場するリチャード三世は、怪異な容貌で、狡猾で残忍でかつ豪胆な詭弁家。劇は他人の不幸が分からないエゴイズムがテーマになっている。実在したリチャード三世はボズワースの戦いで戦死した数少ないイングランド王の戦死者だ。遺体は当時の習慣に従って丸裸にされ晒されたらしい。リチャード三世はヨーク朝最後の王だが、シェークスピアは次のテューダー朝の時代に生きた人物。シェークスピアがテューダー朝の敵役として性格・容姿ともに酷い人物として描いたのも肯ける。発掘された遺骨は劇と同じように背骨が曲がっていた。しかし復元された顔は若々しく美しい表情をしていて、とても暴君だったとは思えないという。顔は人格を表す。リチャード三世はシェークスピアに相当捻じ曲げられていたに違いない。リチャード三世は実は聡明な人物だった、という思いで劇を鑑賞すれば、更にシェークスピアの偉大さが伝わってきそうな気がする。
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