久し振りに胸がすくゲームを見た、大分別府マラソンだ。このところ、と言うよりは永いこと国際マラソンで日本人男子が優勝したという記憶がない。近頃のマラソンと言えば、結果はいつも前に外人がいるので「日本人一位は」という定冠詞が付いていた。ところが今日は有力な外人がいなかったとはいえ、二人の日本人によるトップ争いのデッドヒートは圧巻だった。埼玉県庁の川内選手と安川電機の中本選手。28Km付近から二人が飛び出し、絵に描いたように抜きつ抜かれつの猛烈なデッドヒートを繰り返した。二人の精神力は想像を絶するほどの迫力があった。そして川内選手が大会かつ自己新記録で優勝を飾った。名勝負と言える。多分川内選手がモスクワの世界選手権の日本代表に選ばれることになるはずだ。その時は頑張ってほしいと願う。それにしても、川内選手は市民ランナー出身であるし、中本選手もロンドン五輪出場前はそれほど有名な選手ではなかった。ここにマラソンの再興を促す最大のポイントが隠されているように思えてならない。時代は変わっていく。今時、かつて成功したカリスマの威力ほど効かないものはない。自分だけを信じて生きていく者こそが生き残れる時代に突入している。権威を権威と信じてはいけない。権威に歯向かう姿勢にこそ、新しい扉を開くという力が宿っている。このマラソンで、現状を打破する活力と明日を切り開く力を見たような感じがする。頑張れ、川内選手、中本選手。
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