神奈川科学技術アカデミーの安田教授らが、がん患者の再発や転移を早期に診断する装置を開発したとのこと。血液中でガン細胞が数十個の塊になって流れる性質に着目し、それを測定出来るシステムを開発したらしい。今までの方法では、腫瘍マーカー検査は乳がんや胃がんに限られ、画像診断は被曝の問題があり、これぞ本命という再発がん診断方法はなかったらしい。この血液検査法は言葉で言うと簡単だ。細胞の塊を測定するだけ。原理は単純だが、しかしそれを診断機器として作り上げるには相当のブレークスルーがあったに違いない。開発者から見れば、塊に着目したことよりも、それを可視化出来た技術に誇りを持ったはずだ。それをアピールしたいのが技術者魂というものだ。しかし、それを敢えて伏せ分かり易く細胞塊測定診断機として発表したことに、開発責任者の「目利き」を感じる。「目利き」とは、古物鑑定士の中島氏のように、ものの真贋を見分ける能力のある人。自分は半世紀近く化学に携わり、そこそこ化学については目利きの基礎は持っていると思っている。しかし思っていると化学に拘る。だがその拘りを超越した人が「目利き」だ。再発がんの「目利き」ががん万能診断機を完成させることを願いたい。
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