紙屑となった原発ゼロ戦略

2030年代原発稼働ゼロを大方針とした政府のエネルギー基本戦略が、閣議決定されることになっていたが一夜にして参考文書に格下げされたのは笑い話としか言いようがない。原発問題を解決するには、安全、経済、核についての要求をすべて満たす必要がある。野田首相と古川戦略相は、この3点を考慮もせずに選挙票欲しさで民意のみを重視して原発ゼロを決めてしまった。オーバーオールの戦略性のなさが敗因だ。安全:原発再稼働のための安全性指針すらまだ出来ていない。福島原発事故の後処理も遅々として進んでいない。安全に廃炉を進める方策が検討されていない。経済:エネルギーコストが大幅に上昇すれば日本から工場が消えて行く。コストを考慮したエネルギー政策が立てられていない。この基本戦略を実行すれば日本経済が壊滅するのは間違いない。核:日本はプルトニウムを45トン、核兵器にすると5600発分を保有している。国内に10トン、仏に18トン、英に17トンあるが、仏英からの引取りも考慮されておらず、国内の最終保管方法も場所も未定のままだ。日本は既に核を製造する技術を持っているが、核技術の不拡散についてもノーアイデアだ。現在世界の各国間では核抑止力は機能しているので、国家間での核戦争は起きないだろうがテロリストに核が渡ると話は違う。テロリストは世界を混乱に陥らせるのが目的だから核を使用することは間違いない。米国が日本の原発ゼロを憂慮しているのはこの点だ。今年4月日本の原子力の歴史を網羅的に記述した文章が米国のPEC(Public Education Center)により公開された。http://www.dcbureau.org/201204097128/national-security-news-service/united-states-circumvented-laws-to-help-japan-accumulate-tons-of-plutonium.html 野田はまずこのへんから勉強して原発の基本方針を組み立てていく必要がある。古川は戦略性の欠片さえも持ち合わせておらず不適格戦略相なので即刻退場すべき。