仏の無声白黒映画「アーティスト」がアカデミー賞の作品賞、主演男優賞、監督賞、作曲賞、衣装デザイン賞の計5部門を受賞した。「アーティスト」は、サイレントからトーキーに移り変わる時代のハリウッドを舞台に、時代に翻弄されるスター俳優の姿を白黒の無声映画として描いた作品。サイレント映画が作品賞を受賞するのは83年ぶりとのことで、映画界でも潮目が変わったことを感じさせる出来事だ。一方由紀さおりはピンク・マルティーニとのコラボレーション「1969」が海外で高く評価されミュージックチャートで1位を獲得するなど大ヒットとなっている。先日テレビを見ていたら自分の好きなエッセイスト朝美納豆(アーサー・ビナート)が由紀さおりのヒット理由について語っていた。ビナート曰く「アメリカ人には日本語が分からないから言葉に共感しているのではないし、曲そのものでもない。由紀さおりは歌によってあるイメージを表現し、聞き手は詩でもなく曲でもなく由紀さおりの発するイメージと同じイメージを見ているから共感するのだ」。確かにそう思う。海をseaとかla merとか言わなくても送り手が海のイメージを表現出来れば受け手は海を感じる事が出来るのだろう。昔から欧米人は意見を言葉に表して主張しないと相手を理解しないと言われていたが最近はそうでもなさそうだ。歌の世界でも潮目が変わったことを感じさせる。欧米人が阿吽の呼吸を理解する時も近いような気がする。
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