福島原発事故調査・検証委員会が中間報告を公表した。しかし数か月もかけての結論は、東電が津波対策をとっていなかったこと、国も地震と津波と原発事故が重なることを想定していなかったこと、原子力災害の全体像を誰も見渡せなかったこと、程度の内容のなさだ。こんな内容は事故直後に全国民は知っている。今まで何を調べていたのだろうか。問題の本質は、原発事故の技術的な問題点の指摘と対策、および地震津波対策や想定が何故欠落してしまっていたのかの2点だ。前者は既に大前研一氏が解決済みで電源喪失に尽きるとしている。後者はこの委員会の結論の目玉のはずだが無回答、テストでいえば零点だ。しかも最終結論を提出するのは来夏という流暢さであるから何をや言わんかだ。このブログで以前に指摘(7月14日:失敗学提唱者の大失敗)した通り、福島原発事故調査・検証委員会には発足当時から二つの致命的な欠点があった。メンバーに原子力関係の専門家が含まれていないことと、活動期間が長すぎて結論が出たころには色が褪せ何の役にも立たないだろうことだ。委員会は想定通り最悪の状況で進行している。立ち直す最後のチャンスは大震災が発生した日までに、原子力ムラを含めた問題点と真の原因を掘り下げることだ。委員に正月休みはない。
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